薬事ニュース社
オピニオン

>>>覆面調査を実施しました<<<
 先日、OTC版の「ロキソニン」が発売されたのを機に、初めて第一類医薬品を購入した。これまでにも何度か購入を試みたことはあったが、その都度、薬剤師が不在だったり、代わりに第二類薬を薦められたりで、なかなか実際に手にする機会が無かったのだ。とはいえ今回のモノは、二日酔いの朝の強い味方となる鎮痛剤。発売直後の会社帰りに、買う気満々で自宅近くの調剤併設型ドラッグストアを訪れた。ちなみにこの店は、前日に訪れた際には薬剤師が勤務時間外で購入を断られているし、ポイント付与も行っていない、なかなかの優等生(?)である。とはいえこれも良い機会なので、購入のついでに“覆面調査”を実施することにした。
 入店し、カウンター前の数人の列の最後に並ぶ。薬剤師は調剤室に1人いて、忙しそうには見えない…と思いきや、自分の前に並んでいた紳士が「リアップ」を所望。しばらくの間、薬剤師がそちらに取られることになった。しかしそこで自分の目の前に現れたのが、見かねた隣のレジの登録販売士。取り急ぎ要点のみ、といった感じで説明を始め──結果、買えた。ははは。やっぱり。とはいえ販売士にそれほど悪気がある風ではない。察するにこれは「客を待たせてはいけない」と考える商売人的良心(?)の賜物のようにも見える。
 でもこのまま帰ったとなると、後で取材先の薬剤師の先生方に怒られそうなので、ここはあえて再入店。薬剤師に商品説明を求めた。不審な客だと思われただろうか。果たして、苦笑いとともに始まった薬剤師の説明は、閉店間際の妙な客が相手にも係らず、懇切丁寧で、一言で言えば良心的だったのが印象的だった。しかしその良心は、タイプの異なるもう1つの良心に、簡単に凌駕されるケースも多いのだろう。そんな実情を肌で感じた、冬の夜だった。
(2011年3月4日掲載)