薬事ニュース社
オピニオン

>>>「中医協透明化」への道のり<<<
 中医協を舞台にした贈収賄事件が世間を騒がせている。まさか現金という実弾で、利害が対立する(はずの)陣営の首領の横っ面を引っぱたき、自陣営に有利に事が運ぶよう画策するとは、いやはや恐れ入ったのひと言。金銭が、ホントに委員の発言を左右したのかどうかはさておき、坂口厚労相や野党議員が「中医協の議論が不透明であることが、事件を誘発した一因」と発言しているのは、まことに的を射た指摘だ。
 ここ何年かの診療報酬改定率の決定過程を思い返して見ても一目瞭然、これは誰がどう見ても「不透明」としか言いようがない。傍聴人をシャットアウトして深夜までホテルに閉じこもるわ、あるいは中医協の議論は決裂したはずなのに、一夜明けたら永田町筋からのツルの一声でいつの間にやら改定率が決定しているわ……。殊に中医協の審議が「公開」となってからは、その傾向が強い。「公開」の場では傍聴者を意識した耳障りのよい発言に終始して、肝心の部分は水面下でこっそり決めていることは、もはや衆目の知るところなのだ。
 もっともこうした密室主義は、官僚の体質に負うところも大きいのではないだろうか。そういえば中医協の審議が「公開」された当時も、確か記者クラブにだけ「公開」して大顰蹙を買ったんではなかったっけ。役人の言う「透明化」なんて恐らくその程度。その官僚主導で、「中医協透明化」のための手立てを議論させて、問題は解決するのでしょうかねえ。どう思います、坂口大臣?

(2004年6月11日掲載)