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>>>「大型門前薬局」の概念<<<
 16年度調剤報酬改定の概要が決まった。「大型門前薬局」を狙い撃ちにした「外枠」での引き下げ分(約160億円:医療費ベース)を含む「実質」で、限りなく「ゼロ改定」か「マイナス改定」に近い16年度改定では、昨年に公表された「患者のための薬局ビジョン」をベースとし、「かかりつけ薬剤師・薬局」の評価と「対物」から「対人」業務への転換、いわゆる「門前薬局」の見直しを柱に様々な施策を打ち出した。
 このうち、「大型門前薬局」の評価引き下げを巡っては、薬局グループ全体の処方せん回数が1カ月で4万回を超えるグループ薬局のうち、▽処方せん集中率が95%超▽特定の医療機関との間で不動産の賃貸借取引がある――のいずれかを満たす薬局を対象とする方式になった。
 厚生労働省は当初、「店舗数」に着目した調剤基本料の引き下げを模索していた。しかし、これに日本保険薬局協会が猛反発し、働きかけを受けた厚生労働関係議員も撤廃するよう要求。こうした水面下での様々な攻防を経て、最終的には「同一法人グループ全体の1カ月間の処方せん受付回数」という指標に落ち着いた。
 保険薬局協会の南野利久副会長(メディカル一光社長)は「結果的にはほぼ同じであり、大手だけでなく、中小チェーンにも厳しい内容」と危機感を示すが、18年度改定以降も、こうした「大型門前薬局」の引き下げは俎上に載せられる公算が大きい。ある厚労省関係者は「16年度改定で『大型門前薬局』という概念が正式に導入された。今後も引き下げの余地は大いにある」とみている。
(2016年2月26日掲載)