薬事ニュース社
オピニオン

>>>ASCO見聞記<<<
 ASCO(アメリカ臨床腫瘍学会年次総会)2010の取材にシカゴに行ってきた。初めて海外の学会を見たが、日本の学会と異なる点、最新の学会風景などいくつか驚いた点があった。今年のASCOでは、「Trials in Progress Session」として、進行中の臨床試験に関する議論をするポスターセッションが新たに行われた。試験結果の発表ではなく、臨床試験の認知度を高めるのが目的で、ある発表者は「症例登録が進まない地域があるので、試験デザインや現状を理解してもらい、参加を促すために来た」と語っていた。
 また、口頭発表のあとに「discussion」の時間が設けられており、別の演者が発表内容について、解説あるいは問題指摘を行っていた。試験デザインへの批判や試験結果の意義についての疑問など、手厳しい発言が多く、「Hard to believe」といった発言まで飛び出したのには驚いた。
 「今」らしさということでは、iPadの姿が会場で見られた。電子化された抄録をiPadに移して見ている参加者もいれば、企業展示ブースではiPadを来訪者に貸出し、iPadを用いてクイズ形式で情報提供を行う企業があった。このほか大型画面で3D映像を流す社もあり、華やかだった。だが、展示ブースで一番の驚きは、入り口すぐ左の一等地に、患者向けのブースが大きく確保されていたことだった。ガン種や相談内容ごとに窓口があり、患者は必要な情報を得られるようになっていたほか、ソファでゆっくりできるようになっていた。これも日本とは違った風景だった。
(2010年6月18日掲載)