薬事ニュース社
オピニオン

>>>適切な支えがあれば<<<
 先日報道で「一億総活躍」という言葉を聞いて、今年公開された映画『サンドラの週末』の一場面を思い出した。
 病気のためしばらく休職していた主人公・サンドラ(勤務先は太陽光発電パネルの工場)が復職を目前にしたある金曜日、解雇を言い渡された。解雇は、「サンドラが復職したらボーナスは出せない。どちらにするか」と社長が他の従業員に投票させて決まったもの。その後サンドラの味方に付く同僚とともに社長を説得して投票をやり直すことになり、週末の間に他の同僚を説得するという内容だった。「週末」と聞くと楽しそうな内容を連想するが、同僚が軽い感じで言った言葉によって自分の存在意義を否定された気持ちになる場面などもあり、決して明るい話ではない。
 そんな中、落ち込むサンドラや味方の同僚が、元気を出すために音楽を聴こうといいカーステレオから流れてくるのが「グロリア」というロックの曲だ。歌の中で「グロリア」は人の名前として出てくる。しかしこのような映画のこのような場面で流れるということは、どんな人の人生も輝かしいものだというメッセージを込めたのではないか。
 人は、それぞれに適切な支えがあってこそ元気に生きていけるはず。最後には「1人の小さな人間が誇りを持って生きること」を伝えてくれて、少し明るい気持ちになれる映画だった。
(2015年10月23日掲載)