薬事ニュース社
オピニオン

>>>DPC算定病院にGEは魅力薄?<<<
 「これは潰れるな」
 2月13日に開催された診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会。その閉会後、とある傍聴者が口にしていた言葉だ。分科会では、2010年度診療報酬改定に向け、調整係数を廃止する代わりに新たな機能評価係数について議論を進めているが、論点の1つに挙がっているのが、ジェネリック医薬品(GE)を使用しているDPC算定病院には報酬上上乗せするという考え。昨年11月の会合で、佐藤博委員が提案したものだが、複数の委員から反対の意見が出ており、意見が割れていた。
 それが、同日の会合で松田晋哉委員が、「(薬価が)安いからといって、GEをたくさん使ったら点数を上げるというのは、(機能評価係数の性質である)医療の質を高めることと合わない」として反対の立場を表明した。同委員は、厚労省から委託され、新機能評価係数の設計作業に携わる中心人物。その立場からか、これまでそのスタンスを明確にしてこなかったが、それだけに同委員の今回の発言は重い。冒頭の傍聴者の言葉は、同委員の発言を受けた会合の空気を代弁したものと推量できる。
  「2012年度GE数量ベース30%拡大」という政府目標があり、厚労省はその一助として、DPC算定病院のGE使用拡大を期待している。が、GEを使用すれば増収することはわかっているにもかかわらず、多くの算定病院は乗り気薄だ。先発企業との関係が一因としてあるようだが、少なくとも機能評価係数に結びつけるためには、GE使用を妨げている要因を取り除いたうえで、「医療費縮減」の観点からの主張と、「医療の質」の観点からのそれをリンクさせる、明快な理論武装の提示が必要になる。さもなければ、冒頭の言葉は、そのまま未来を言い当てるものとなるかもしれない。
(2009年2月20日掲載)