薬事ニュース社
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>>>流通改善は進むか<<<
 医療用医薬品の流通改善に関する懇談会が「中間まとめ」を発表した。4回の議論を通じて問題視されたのは、医療機関、特に調剤薬局チェーンの「値引き要求」や「総価契約」といった取引のあり方。上半期の決算で大幅な利益ダウンを余儀なくされた卸からすれば当然の主張ではあったが、反面、購入側にも言い分はある。ある大手調剤薬局チェーン関係者はこう漏らす。「GEが注目されるようになってからは、先発品は『試供品』の様相を帯びている」。売り込みたい製品では、要求しなくても値引きをするだから、我々が過度な要求をしているとは思わない、というのが購入側の一致した思いのようだ。
 ともあれ、流通問題というテーマを、利害が対立する当事者間で話し合う懇談会の性格からして、今後も議論が平行線をたどることは想像に難くない。そうなれば、いずれ矛先が「薬価制度」そのものに向けられることは火を見るより明らか。現に一連の懇談会の議論でも、「診療側」からは再三、制度の限界を指摘する声が上がっていた。製薬業界からすれば、流通問題の側面から薬価制度を云々されることは、決して好ましい事態ではないはずだ。
 「議論を聞いていると、皆被害者のように聞こえるが、医療制度を守るためにも、皆がそこそこに『勝つ』、Win-Winの関係を見つけてほしい」。中間まとめ策定に際しての岩尾医政局長の言葉だ。提言の内容を実効性あるものにできるかは、どうやら薬価制度の意義にまでかかわってくることになりそうだ。

(2004年12月17日掲載)