薬事ニュース社
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>>>進んで泥が被れるのか? <<<
 民主党連立政権の誕生は約3年前。官僚の1人は「『政治主導』という言葉が前面に出ていたのでまさに役所に乗り込んでくるという感じだった」と振り返るが、巷には妙な高揚感が散見されたほど大きな期待感があった。それが昨年末には見事な揺り戻しとなり、かつては国民から批判を浴びていた自民党の連立政権へ戻ったというわけだ。ともかく、行政では政権交代は多くの職員にとり今回で2度目に当たるからというだけではなく、自民党への“安心感”からも比較的余裕をもって迎えているという話だ。
 「あたかも評論家のようで与党としての自覚が無かった。野党暮らしが長かったからという経験の無さでもあるのだろうが」。与党時代の民主党に対しなかなか政策をまとめてもらえないと嘆いていた前出の官僚は、前政権をこのように総括してみせた。さらに「自民党には自分が泥を被ってでも責任を取ろうという議員がいたものだが、民主党にはそういう議員が少なかった気がする」とも続けた。
 これらは政権を担う側の政治家としての覚悟が、根っこにどれほどあるかが問われるとの指摘に聞こえる。衆参の“捻れ”に加え与党・政府内で意見対立が続くことが多く、民主党時代の政策実現のスピードは自民党時代よりも後退していたという。自民党の統率力には派閥の力もあるのではと勘繰りたい気もするが、早速の政権交代に際してはそれを差し引いてなお、重く響いてくる。政治の、権力としての自覚が改めて問われる。
(2013年1月11日掲載)