薬事ニュース社
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>>>医師の数―2つの偏り<<<
 医師の数は増えているはずなのに、現場は医師不足に悩んでいる。地方では、医師不足から診療科目を閉鎖、休止する病院も出てきている。厚生労働省によると、病院や診療所で働く医師は25万6668人(2004年)。毎年およそ4000人ずつ増えている。では、なぜ医師不足なのだろうか。
 1つは地域格差。人口10万人あたりの医師数は、多い地域と少ない地域で100人以上の差がある。最も多い東京都が264・2人であるのに対し、最も少ない埼玉県は129・4人。このほか医師が多かったのは、徳島県、高知県、京都府などで、逆に少なかったのは茨城県、千葉県、青森県など、西高東低と言える。
 もう1つは、診療科目による偏りだ。産婦人科、小児科の医師数はともに減少傾向が続いており、都市部でも減っている。産婦人科は医療訴訟が多いし、小児科は手間がかかるのに診療報酬上の手当てが薄いというのがなり手が少ない理由という。また、がんの専門医も新たななり手が減っているという。理由は、過重な労働だけではなく、患者が亡くなることが多く精神的にも負荷が激しいからだ。
 今後、診療報酬や政策による対策が打ち出されるだろう。使命感や情熱だけで2つの偏りを解消しろとは言わないが、使命感や情熱が無くなっているとしたら寂しいかぎりだ。
(2006年1月27日掲載)