薬事ニュース社
オピニオン

>>>「想定外」を想定せよ<<<
 地震に津波、台風や洪水、これからは火山噴火も追加するべきか。つくづく日本はあらゆる災害の脅威に晒されている国なのだと思い知らされる。どれだけ備えをしていても被害が出てしまうのは、災害の規模が想定の範囲外だからなのだろう。災害が消えてなくなることがない以上、あらゆる事態を想定しながら「想定外」に立ち向かい続けなくてはならない。
 それでは西アフリカで猛威を振っているエボラ出血熱に対しては、政府としてどのような想定しているだろうか。エボラなど一類感染症の治療が可能な指定医療機関は全国に45施設あるが、いずれの施設でも実際に治療した経験はないそうだ。とは言え、これまで一類感染症の感染者が国内で発生しなかったと考えてみれば、決して悪いことではないかもしれない。
 しかし西アフリカでの感染拡大に歯止めがかからないだけでなく、米国やスペインで感染者が確認され死者まで出てしまった以上は、いよいよ日本でも起こり得ることになってきたと考えるべきだ。富山化学の抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(一般名=ファビピラビル)を投与した患者が完治したとの嬉しいニュースもあるようだが、水際対策は万全か、防護服や病床の数は十分か、指定医療機関までの搬送体制は適切か。まだまだ考えるべきことはたくさんある。厚生労働省では専門家会議を立ち上げて対策を本格化させているが、「想定外の事態が続出」なんてことにならないことを願う。
(2014年10月31日掲載)