薬事ニュース社
オピニオン

>>>医療を守るのは誰か<<<
「医薬品は患者様のためのもので、説明、提案はするが、選択するのは患者様」先日、精神科の臨床現場で奮闘している医師を取材した際に、医師の口からごく自然に出た言葉だ。理念ではなく、日常の診療業務の中で、そのような意識が浸透しており、行動にも表れているのだろう。その医師は、「有効性、安全性を実感してもらい、自分で選んで服用しているという実感が、医師との信頼関係にも繋がる」とも言った。医薬品の価値について、新たな一面を教えられた気がした。
 また、製薬協のセミナーにパネリストとして参加した矢崎義雄・国立病院機構理事長は、医療制度改革論議について、「(短期的な制度変更のための)議論が優先される。そのため(診療報酬)点数の取り合いになってしまっている。それでは国民の理解が得られない」と指摘した。同じくパネリストの尾身茂WHO西太平洋地域地域事務長は、「医療費抑制の議論が中心で、あるべき医療という本質論が欠けている」と語った。
 翻って、日本医師会の会長選挙に立候補を表明した2人の候補の口から出るのは、自民党との距離感をめぐる発言や相手への批判ばかりだ。「自民党との間は、むしろ以前より親密度が増えている」(植松治夫会長)、「執行部が政権政党を敵に回した結果、何が起きたかは、だれの目にも明らか」(唐澤祥人候補)など。望ましい政策を実現するためには、政権与党との関係は良好なほうが良いだろう。しかし、飽くまでも政策が中心でなければならない。献金と票で政治が動かせなくなっているのは郵政民営化が示している。
(2006年3月24日掲載)