薬事ニュース社
オピニオン

>>>がん患者の声<<<
 今年4月、「がん対策基本法」が施行された。法律では、政府と都道府県に医療機関の整備や専門医など人材育成を進めるよう求めている。また、がん緩和ケアを「早期から適切に行う」ことも明記した。“がん難民”解消に期待が掛かる。
 この「がん対策基本法」の制定には、患者の声が大きく影響した。「日本のがん医療を変えよう」と、がん患者とその家族、患者団体が多数集まり、大阪で“第1回がん患者大集会”を開いたのは2年前のことだ。集会には当時の尾辻秀久厚生労働大臣が出席、がん対策基本法制定への流れを作った。昨年は、東京で第2回集会を開いた。会場には、点滴を打ちながら駆けつける人もいた。大阪大会のリーダーの1人だった三浦捷一氏は、医師であり自身肝臓がんと闘っていたが大阪大会後に残念ながら他界してしまった。参加者の「私たちはいつまで耐えなければならないのか」との叫びは、切迫している。患者たちは、未承認薬問題、診療指針や病院の治療成績などの情報の少なさや医療水準の地域格差に苛立ち、緩和ケアが進まない状況に苦しんできた。
 第3回目の今年は、8月26日(日)午後1時から広島市の広島国際会議場で開催される。今回は特に、緩和ケア、がん患者と家族の心のケアを主要課題にとした。
 日本人の死因の第1位であるがん、決して他人事ではない。基本法は施行されたが、基本法に基づく取り組みは始まったばかりだ。患者の声に学ぶべきところはまだまだ多い。
(2007年8月24日掲載)