薬事ニュース社
オピニオン

>>>成人年齢をめぐる一考察<<<
 国民投票法案の成立に伴い、投票権者を18歳に引き下げようという動きが出ているが、このニュースに接してふと、以前目にしたユニークな意見を思い出した。成人年齢変更の必要性を説くものだが、ユニークというのはその主張が、今回のように18歳への引き下げではなく、逆に20歳から引き上げるべきという趣旨だったからだ。
 その根拠を要約すると概略次のようになる。「人生わずか50年」といわれた戦国乱世の時代には、男子は齢15、16歳で元服し成人とみなされた。大体人生の3分の1の時点を「成人年齢」としていたわけだ。日本人の平均寿命は、昭和22年頃までは男女とも50歳前後だったが、昭和25年~27年くらいにかけて60歳を越え、その後は一貫して伸長。平成17年には男性78.5歳、女性85.5歳となり、いまや人生80年時代。ところが成人年齢だけは「人生60年時代」の規定のままではおかしい、寿命の伸びに従って成人年齢も引き上げるべき、というもの。
 平均寿命の伸びと人間の精神的成長に相関関係があるかは疑問だが、なるほど昨今は人間の成長のスピードが鈍化しているという見方は成り立つだろうし、若年層に見られる幼稚で杜撰な犯罪の増加なども、成長の鈍化に伴う判断力の未発達に起因すると考えれば肯ける。この国を「美しい国」にするには、憲法改正よりも人間の内面的成長を促す画期的新薬の登場でも待った方がよさそうな気もするが、もしや安倍さんが製薬産業支援に熱心なのはそのせいでは、というのは下衆の勘ぐりか。
(2007年6月8日掲載)