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>>>後発品のビジョン<<<
 「医薬品産業ビジョン2021」の策定作業が、8月頃の公表を目指し、厚労省で進められている。これまでの「ビジョン」では、製薬産業の将来像に関して、02年版の「メガファーマ」「スペシャリティファーマ」とした類型から、07年版では「メガファーマ(少なくとも1~2社はグローバルメガファーマ)」「グローバルニッチファーマ」「グローバルカテゴリーファーマ」などと細分化。それが13年版では一転、「すべての製薬企業が、その規模に関わらず、それぞれ特徴を活かした企業にならなければ生き残れない状況にある」「今後の医薬品産業は、過去に正解のない領域に入っていくと考えられるので、どの機能に力を入れることが正解かという答えは現時点ではなく、その時の状況に適した企業が生き残る適者生存という形になるだろう」などとして、カテゴリー類型にとらわれない機能強化の道筋を提示したが、後発品に関しては、一貫して「ジェネリックファーマ」あるいは「後発医薬品メーカー」として、ひとつのカテゴリーに位置付けていた。
 厚生労働省医政局経済課の林俊宏課長は、6月に開催された学会の講演で、今後の後発医薬品メーカーのあり方に触れ、「量的拡充により達成していたビジネスモデルから転換する必要があるのではないか」としたほか、「アジア地域等への海外展開を考える必要がある」「GQPを遵守し、サプライチェーンを明確に把握し、安定供給と情報開示ができる企業のみが製造販売事業者として生き残っていくべき」「(製造販売業としての体制確立ができない企業は)委受託関係の見える化・効率化を行った上で、受託企業(CMO)として生き残っていく道があるのではないか」「幅広く品揃えする企業か、得意分野に特化する企業かの二極化が進むのではないか」などとした見方を示している。こうした発言を踏まえると、21年版ビジョンでは、後発品メーカーの「機能分化」の方向性が透けて見える。
また、13年版では、市場再編の見通しについては、「後発医薬品市場の拡大に伴い業界再編に発展する可能性も増してくるだろう」との記載に止まっていたが、より踏み込んだ記載となるかも注目される。
(2021年7月30日掲載)