薬事ニュース社
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>>>新型インフルエンザワクチン接種をめぐる混乱<<<
 未就学児への接種時期前倒し、集団接種など、新型インフルエンザワクチンの接種に関する現場の混乱が続いている。東京都に住むAさんは前倒しの報道を受けて、保育園にかよう2歳の息子に接種をと、地域の医療機関に問合わせを続けたが、「もう予約で一杯」との回答ばかりで、何日も医療機関に電話をかけ続け、ようやく仕事場の近くの医療機関でなんとか確保したという。Bさんの娘は、基礎疾患があるため優先接種の対象として近所の医療機関に予約していた。しかし、「前倒しが決まったとたん予約をやり直すとのことで、知らない間に予約を破棄されていた。その連絡がもらえなかったため、気づいたら予約が取れない状況だった」と憤る。Bさんの娘は、後日、4軒目に電話した別の医療機関で接種することが出来た。一方、保育園に子供を預けるCさんは、共働きのため問い合せも十分に出来ていないという。「(予約殺到で)つながりにくい電話を前に1時間も2時間もかけて医療機関に電話をすることは不可能だ」「しかも、保育園はうちと同じようにワクチンを取れなかった子ばかりだし、(親が仕事を休めないため)少しの熱くらいでは登園してくる。感染者が出ても学校や幼稚園と違って学級閉鎖にもなりにくい。毎日、心配ばかりだ」と、嘆く。Cさんは、集団接種の動きが出てきたことに「自分の住む地域も」と期待している。
 ワクチン接種の優先順位をサイエンスに基づいて判断するのは当然だが、接種の手順や社会防衛上観点からの接種のあり方についての検討がもっとなされるべきであったのではないか。
(2009年12月4日掲載)