薬事ニュース社
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>>>ゲノム医療法が施行した<<<
 6月16日に、「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」(ゲノム医療法)が公布され、即日施行となった。同法は、個人の遺伝情報に基づくゲノム医療の推進や不当な差別の防止などを理念として掲げた法律。超党派の議員連盟が法案を作成し、その成立をめぐっては、学術・医療関連団体や患者・家族会など250を超える団体が賛同した。まさに国が一丸となって誕生させた法律と言えるのではないだろうか。
 科学技術が日々進展しているとはいえ、がんや難病などはじめ、根治に向けた解決の糸口がみえていない疾患も少なくない。ゲノム医療にはこれら疾患に対する突破口となる可能性があり、今回法が整備され、研究開発の促進や基盤整備が進められることには大きな期待を抱かざるを得ない。もちろん、同法では、推進に係る内容以外にも、遺伝情報による差別への「適切な対応」も明記しており、生命倫理への適切な配慮やゲノム情報の適正な取扱いについても「必要な施策を講ずる」としている。関係学会が「ゲノム情報の活用と保護は車の両輪」と訴えているように、法においてもこの考え方が示された形だ。
 今後、政府は法に基づく各種整備を進めていくことになるが、現在のマイナンバー制度をめぐる騒動と同じ道を辿ることは絶対にあってはならない。
(2023年6月30日掲載)