薬事ニュース社
オピニオン

>>>変わらぬ日本の春の風物詩<<<
 桜の季節である。都内有数の名所が近所にあるせいか、この時期になると開花予想が気になる。気象庁、日本気象協会、民間のウェザーニューズ社が発表した東京都心の開花日は3月26日~28日。そうなると見ごろは4月初旬あたりか。
 さて、桜のように風情もないし、誰も楽しみになどしていないが、同じくこの季節の風物詩に悪名高い年度末の公共工事が挙げられる。公共事業費削減で予算消化目的の駆け込み工事は減っているかと思いきや、いやいやさにあらず。市民的感覚では、一向に変化は感じられない。前述した近所の桜の名所でも、二月頃から何の前触れもなく工事が始まった。このお花見スポットは、これまた都内でも有数の河川増水スポットと隣接しているため、確か二年ほど前にも工期に一年近くを費やし護岸工事が施されたばかり。その節も、満開の桜の下を大型の工事車両が土煙を巻き上げる図に興趣をそがれる思いのしたものだが、今年もこの分でいくとその二の舞になりそうな気配である。しかも工事は寸分違わぬ同じ場所。前回の工事以降、大きな河川氾濫はなく、それが必要不可欠なものかどうか、市民には判断材料もない。緊急性の疑わしい工事に税金を投入されたうえに年に一度の楽しみまで奪われるとあっては恨み言のひとつも言いたくなる。
 そもそも予算に余裕があるのなら、医療体制整備など差し迫った課題はほかにいくらでもあるはずなのに、日本の縦割り行政ではそんな柔軟な発想は永遠に出てこないんだろうな、やっぱり。これも春の風物詩と諦め、はかない望みは桜とともに散るに任せるが雅の心というものか。
(2008年3月21日掲載)