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>>>FDAがレカネマブを迅速承認<<<
 米国食品医薬品局(FDA)は1月6日に、エーザイとバイオジェンが共同開発したアルツハイマー型認知症(AD)の治療薬「LEQEMBI」(一般名=レカネマブ)の迅速承認を発表した。この承認は、早期ADを対象とした臨床第Ⅱ相試験のデータに基づくもので、ADの特徴である脳内Aβプラークの減少を示したことが評価された。迅速承認では、検証試験により臨床的有用性を確認することが条件に付いたが、両社は既にフル承認に向けた一変申請を提出。申請の基となった試験では、レカネマブ投与群はプラセボ投与群と比較して27%の全般臨床症状の悪化抑制を示していた。日本については2022年度中の承認申請を予定しているという。
 認知症は、社会的な影響が大きい疾患の代表例だが、中でもアルツハイマー型は認知症全体の約68%を占めている。当然、根治に向けた治療法の開発も含め、その対応は喫緊の課題だ。レカネマブは疾患の進行を遅らせる治療薬になるが、一定期間でも症状を軽度に留めておくことができるということは、患者や周囲の人々にとって大きな意味があり、社会的な貢献度も高いだろう。副作用や価格(米国では年間2万6500ドル=約350万円)のことを考えると患者であれば誰でも使えるというものではないが、新薬登場のニュースというのは、その先への希望に繋がるものとして期待せずにはいられない。
(2023年1月20日掲載)