薬事ニュース社
オピニオン

>>>柔軟な対応<<<
 今年度厚生労働科学特別研究事業進捗管理班(難治性疾患実用化研究・腎疾患実用化研究・慢性の痛み解明研究)成果報告会が3月13日に開催された。埼玉医科大学の宮川義隆教授は「血栓性血小板減少性紫斑病に対する『リツキシマブ』の医師主導治験」と題して発表した。宮川氏によると同疾患は急性で致死的な希少疾病であり、国内患者数は約400名とされている。治療は血漿交換療法が国内において行われているが、毎日3リットルの血液を入れ替えることや高額な医療費など、大きな負担がかかっていることから海外で再発・難治例の患者に対し有効な治療として広く使われている「リツキシマブ」の治験を行ったとのこと。
 宮川氏は治験において工夫したこととして情熱のある医師に呼びかけたことを挙げた。また、被検者を6人集めることになっていたが、都会の大病院でもほとんど患者が現れないほど稀な疾患であることから患者が集まらず、新聞広告を通じて患者の募集を行ったなど、柔軟に対策を考えたそうだ。その結果、被検者を集めることができ、全員が社会復帰できたという。15年度に適応拡大の承認申請を予定している。
 人の命を守る時にこそ柔軟な対応が大切なのだと思った。
(2015年3月20日掲載)