薬事ニュース社
オピニオン

>>>魅力的な国内市場<<<
 製薬大手10社の2006年度中間連結決算は、業界平均6.7%の薬価引き下げや研究開発費の増加が多くの企業に重くのしかかった。相変わらず好調に売上高を伸ばしているのは、海外販売が好調なトップ企業だ。国内市場への依存度が高いそれ以外の企業からは、「国内市場の環境が厳しい」とのため息が漏れる。
 確かに、一連の医療費抑制策や外資系企業の自販体制構築による競争激化は、頭痛のタネだろう。しかし、国内の医療用医薬品市場は他の多くの産業とは異なる特徴を持っていることも事実だ。三菱ウェルファーマの小峰健嗣社長は、中間決算発表会見で国内市場について「極めて魅力的と考えている」と語っている。何故か。医療費抑制策が採られるのは、医療費、薬剤費が伸び続けるからで、それだけのニーズがあるというのが、小峰社長の指摘だ。景気回復が言われているが、他の産業では消費者のニーズを如何に喚起するかが重要課題だ。国が必死に介入して価格を下げさせる医療市場とは大きな違いだ。しかも、高齢社会を迎え、医療市場は今後数十年にわたって大きな需要が見込まれている。
 問題なのは、疾病構造や人口構造、経済状況の変化に対応していない、古いシステムを維持するための改革が続いていることではないか。診療報酬、薬価の引き下げは、その最たる物だと思う。
(2006年11月17日掲載)