薬事ニュース社
オピニオン

>>>歳とってからではきつい<<<
 先日、スペイン在住の友人の、その友人(スペイン人とベネズエラ人のカップル。面識なし)が観光で日本にやってきたので、案内役を務めることになった。2人とも日本は初めてで、見るもの全てが新鮮らしく、他愛のないことでも大騒ぎしていたが、そんな彼らが驚いたことの1つに「外国人が少ない」ということがあった。言われてみれば、確かに日本は民族的な均一性が高い。外国人は年々増えているような気がしていたが、世界レベルで見ればまだまだなのだった。
 彼らの話を聞きながら、なぜか昨年末に終了した「高齢者医療制度改革会議」のことを思い出した。取材のたびに、人口激減&超高齢化のWパンチが待つ日本の将来を目の前に突きつけられるので、毎回暗い気分にさせられたが、そんな中で否応なく考えさせられたのが、移民の受け入れの必要性だった。
 受け入れを求める声は、財界からも政界からも上がっている。しかし欧米での失敗例や国内の失業問題などを考えると、政府も慎重な姿勢を崩せないのだろう。と思っていたら09年の調査では、ここ半世紀の間で初めて在日外国人の登録者数が減ったという。実際は、門戸開放どころの話ではなかったのだった。
 見知らぬ人たちとの共存には確かに不安が伴う。しかし人口の問題は地球温暖化などと同じで、今のところは先送りにできても、放っておけばいずれは緩慢な死に向かう。ピュアな日本の姿を守りたい人も多いと思うが、覚悟を決める日は早晩やってくるのだろう。
 すると、その覚悟はいつ決めるべきなのか。 多分人間と同じで、歳をとってからでは相当にキツいはずだ。
(2011年1月28日掲載)