薬事ニュース社
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>>>一刻も早い具体策を<<<
 就職活動を「就活(シュウカツ)」と略するのは、定着した感があるが、同様のものに結婚するための「婚活(コンカツ)」がある。こちらは家族社会学者の山田昌弘氏が考案した造語だという。山田氏は、「婚活」が必要になった背景として、恋愛観や結婚観の規制緩和を挙げる。つまり、交際したからといって、それがすぐに結婚に結びつくわけではなく、別れる自由が出てきたということだ。その結果、「晩婚化」「非婚化」が進み、結婚するために意識的に活動する必要が出てきたという。それに現在の経済状態が拍車を掛け、「結婚したくてもできない」人たちを生み出し、「婚活」を難しいものにしているといえる。
 最近になると今度は、「保活(ホカツ)」なる雑誌の見出しが目に飛び込んできた。件の雑誌を読むと「保活」とは、保育園への入園のための活動で、少しでも条件を有利にするために育児休暇を切り上げて働く母親もいるという。役所の担当者に夫婦で手紙を書く人もいるという。いずれも入園審査の際の心証を良くしようということらしい。認可保育園に入れない子どもは80万人を超えており、共働き 世帯にとっては重大な問題だ。
 医療の建て直しも喫緊の課題だが、景気の影響を受け氷河期の就職をはじめ、結婚(これは個人の価値観の問題でもあるが)、育児といった人生の大きな出来事を前に苦悩する人たちに、鳩山首相の「命を守りたい」という言葉はどう響くだろうか。首相の理念を具体化した新たな社会像を早く見たい。
(2010年3月12日掲載)