薬事ニュース社
オピニオン

>>>ぐっときた次第<<<
 今回の東日本大震災は、被災された方々に比べればほぼ無傷と言っていい自分にも、様々な経験を与えた。中でも個人的に強く印象に残るのは、一時的とはいえ初めて「支援される側の国」の人間になったことだ。日本はこれまでの数十年間、少なくとも自分が生まれてからは、支援する側の国であり続けてきた。
 地震発生後には有難いことに、世界中の多くの国々が助けの手を差し伸べてくれた。外務省の発表によれば、3月末までに支援を申し出た国と地域は、「トモダチ作戦」のアメリカをはじめ、政情不安の続くアフガニスタンやイラク、問答無用の失敗国家として知られるスーダンやジンバブエ、さらには昨年の大地震から立ち直れないでいるハイチに至るまで、130以上に上るという。
 勿論その裏では、外交面での色々な計算等があるかもしれない。しかし一つ一つの支援が有難いことに変わりはない。特に、殆どの日本人が知らないような小国や地域までが、有形無形の支援を行ったとの報道があるたび、なぜか胸にぐっとくるものがある。その感情をどう表現していいのかはよく分からないが、多分支援される側の国にならなければ、一生分からなかったかも、と思えるような感情だ。支援してくれた側の顔は、良く見ておこうと思う。
 ところで先日、贔屓にしているメキシコのCDショップのウェブサイトを覗いたら、いつの間にか“Voces porJapon”(日本のための声)と題したチャリティーCDが発売されていて驚いた。参加しているのはメキシコが誇るスーパースターばかり。とはいえ日本で知られている人はごく少数なので、こちらで注目を集めることは全くない。とはいえそんなことは彼らも承知の上だろう──と思ったら、やはりぐっときた。収益はメキシコ赤十字を通じて、全額寄付されるという。
(2011年4月22日掲載)