薬事ニュース社
オピニオン

>>>脱マスクに向けて<<<
 新型コロナウイルス対策のマスク着用はいつまで続けるのか――。海外では既に脱マスクが進んでいるが、日本でもようやく動きが見え始めた。マスク着用を法で義務化した欧米では、これを撤廃すれば着用しなくても良いという単純な構図で、脱マスクが一気に進んでいる。一方、日本ではマスク着用について法で規定せず、“お願いベース”で推進する形をとってきた。そして政府は5月20日に、会話が無い場合は、身体的距離が確保できなくとも屋外ではマスク着用の必要はない、などとする考え方を発表した。
 国民がマスクを着用するのは、感染したくないという理由が最も大きいと思うが、「自分が万が一感染していた場合に他人にうつしたくない」という善意の側面もある。この問題、「エスカレーターの片側を空ける・空けない」の話と似ている。エスカレーターの場合も、急いでいる人のために片側を空けておこう、という善意が習慣化した形になるが、エスカレーター内の通行者による事故が発生したことで、公には「立ち止まって乗ること」となった。現在はといえば、今でも片側が空けてあることが多いのはご存知の通り。善意から習慣化した行為は頭で理解していても中々解消するものではないが、マスクはどうなるのか。日本人は同調圧力が強く、空気を読むことに慣れており、しばらくは様子見が続くことも考えられる。政府のマスクを巡る発表が、どれだけ実際の行動に繋がるのか興味深い。
(2022年5月27日掲載)