薬事ニュース社
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>>>日曜の“演説ギンザ”、選挙熱ひしひし<<<
 4丁目交差点を睥睨(へいげい)するようにライオン像2体が鎮座する東京・銀座の「銀座三越」前。待ち合わせの定番であり、普段でも人の多いスポットだが、その日は雰囲気がだいぶ違った。一帯が歩行者天国だったとはいえ、そこは人ひとり通れる隙間を残し、3桁単位の人垣の人いきれにむせ返っていた。
 群集が、少し顔を上向かせて聞き入るのは、晴海通りに停められた街宣車から叫ぶ参院選候補者の声。必死の支持を訴えるさまに、もらった団扇をパタつかせながら耳を傾けている。他にも、街のあちこちで与野党含め、ムシロ旗を掲げて有権者に歩み寄り、寄られる候補者らの姿があった。少しはなれた場所では、応援に駆けつけた安倍晋三総理が、逆風への懸念を口にしながらも自民党支持を声高らかに訴えて後、SPとカメラ付携帯をかざす有権者に囲まれ、歩行者天国の銀座通りを日本橋方面から4丁目交差点に向かって移動――。1週間後に参院選投票日を控えた最終日曜日の熱いひとコマだった。
 局所を眺める限り、有権者の関心は高そうではあった。ただ過去、亥(い)年の参院選は投票率が落ち込む。61%の昭和22年をピークに、同34~56年までは50%後半。前回の平成7年に至っては歴代ワーストの44%。折れ線グラフにプロットすれば皆、小さくはない谷を描く。総理や有名候補を追いかける銀座の人ごみには、明らかに未成年者も含まれており、単なる興味本位もぬぐえないが、今回、有権者の熱がどこまで投票率と結果につながったか。実は、本稿執筆段階では分かっていない。それもあり、ここでは選挙期間中の熱気を伝えるまでしかできない。ある識者は言う。「民の声は、神の声」と。民の行動、決断は、神のみぞ知るともいえるわけだ。本稿が衆目にさらされた今、世間はどうなっている?
(2007年8月3日掲載)