薬事ニュース社
オピニオン

>>>「国民目線」の意味は?<<<
 「なぜできないのか」「いつになればできるのか」「なぜ期限を切らずに調査をしているのか」――。民主党で少し前に開かれたB型・C型肝炎総合対策推進本部では、同党と報告のために招かれた厚生労働省との間で押し問答が続いた。閣僚が答弁、約束した事項について、作業現場である同省では遅々として進んでいないからだ。同党議員や薬害肝炎訴訟原告団の福田衣里子氏からの質問に対し、明言回避、資料の開示を拒む厚労省という図式のまま時間は流れた。
 このやりとりを聞いて感じたことは、同省はあまりにもずさんな仕事をしているようだが、もしかするとそれは与党絡みの“ワケ有り”のせいかもしれない、ということ。同省が“逃げ”に終始した理由が、行政のお粗末な仕事の結果であるならばそれは困りものだが、「与党対野党」という政治的な問題が主な理由であるならばことは厄介だ。会合では、同省の逃げ姿勢に対し「自民党国対への報告の後でなければ回答できないのか」という指摘が出た。この指摘は、前日の衆議院・予算委員会で、自民党・国会対策委員会から各府省に対して野党からの資料要求については事前に報告するよう「指示」が出ていたことが発覚したことを受けてのもの。結局、同省の態度は最後まで変わらず、民主党からこれまで開示されていない資料の要求が出され、この日の会合は終了した。
 被害者を前にした“政党対決”。改めて国民目線の意味を考えさせられた。
(2008年11月7日掲載)