薬事ニュース社
オピニオン

>>>ジェネリックのコマーシャル<<<
 今や、見ない日は無いと言っても過言ではないほど、メディアを通じたジェネリック医薬品関連のコマーシャルに接する機会が多い。最近では、このコマーシャルが大きく貢献し、ジェネリック医薬品の国民認知率が90%を超えたという調査結果も出るなど、その影響は非常に大きい。
 このジェネリック医薬品のコマーシャルに関して、薬剤師の団体・日本薬剤師会がジェネリックメーカーの団体・医薬工業協議会に“注文”をつけた。コマーシャルを見た視聴者・患者が、調剤薬局や日薬に苦情を申し立てるケースがあったからだ。
 何故、苦情が寄せられたのか。コマーシャルはメーカーがそれぞれ独自に制作しているが、共通するのは「薬代が安くなる」というテーマ。コマーシャルの影響でジェネリックを処方してもらった患者が、実際に調剤薬局へ支払う総額がそれほど安くなっていないことから、「これは如何に?」となったからだ。処方薬に関して調剤薬局に支払う金額には、薬代のほか、調剤行為に対する技術料や情報提供料などが含まれている。確かに「安さ」を前面に出したコマーシャルにより、これら全てが画期的に安くなると誤った認識をする人も出てくるかもしれない。
 しかしふと考える。苦情を寄せた人、いや、寄せないまでも「調剤薬局への支払=薬代」と考えている人は、実は少なくないのではないだろうか。だとするならば、薬屋ではない調剤薬局としての存在価値、医薬分業の意義は国民に全く理解されていないことになり、こちらのほうが大問題のような気がしてしまう。
(2006年6月9日掲載)