薬事ニュース社
オピニオン

>>>遅すぎる対応<<<
 ゴールデンウィーク最中の5月5日、大阪府にある遊園地「エキスポランド」で、人気アトラクションであるジェットコースターの脱輪による死亡事故が起きた。運営者であるエキスポランドによると、今回の事故は車輪の車軸が折れたのが原因としているのだが、この車軸の点検については2006年1月末を最後に行われていないことが明らかになった。
 ジェットコースターのような遊具施設の点検は、建築基準法により、6ヵ月~1年ごとに定期検査の実施が義務付けられている。しかし、現在は検査における具体的な基準が定められているわけではないため、個々の事業者が独自に検査を行い、当局に報告しているのが実状だった。事故を受け、国土交通省が遊戯施設などの法定点検について、検査項目や判定基準を明記する方針を固めたというのも、尊い命が失われた今となっては、あまりにも遅すぎる対応と言わざるを得ない。
 今回のような遊具施設に限らず、エレベーター、建築物、医薬品、飲食物など、生命を脅かす、または死亡に繋がる事例が過去に何度も報道されてきた。こうした事例の中には、製造者やその運営・管理者の過失によるものが決して少なくない。エキスポランドの事故がどのような結末を迎えるのかは現時点では分からないが、我々がなすべきことと言えば、安全・危機管理に対する想像力を今一度逞しくし、今回のような悲劇を繰り返さない・起こさないことについて意識を向け、行動していくことではないだろうか。
(2007年5月18日掲載)