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>>>山場を迎える日医工の事業再生<<<
 日医工の事業再生は大きな山場を迎えている。日医工は、国内投資ファンドであるジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)が管理・運営するジェイ・エス・ディーを割当先とする総額200億円の第三者割当増資などの取引により、同社の完全子会社となる道を選んだ。日医工は今期第2四半期決算で、資産総額2465億5800万円に対し負債総額2821億8400万円となり356億2600万円の債務超過に陥った。日医工がJWPのスポンサー支援を受けた理由として「事業継続のためには、足下の資金繰り、キャッシュフローの正常化が課題」であり、確実性のある資金調達が必要だったとしている。確かに、キャッシュフローを見ると、短期借入金の増額は358億3600万円、営業活動によるキャッシュフローがマイナス334億1100万円となっており、借入金を本業の赤字補填に充てている状況がうかがえる。
 債務超過の原因となったのは、米セージェントにおいて計上した474億1700万円の減損損失だ。今後の米国事業の展開を踏まえて減損テストを実施した結果なのだが、セージェントはこれまでにも減損損失を計上している。弊紙が昨年7月に行った日医工・田村友一社長のインタビューでは、バイオシミラーやオーファンドラッグの米国上市などで減損を吸収する考えを示していた。しかし、頼みのバイオシミラーやオーファンドラッグは現在、開発中断の状況だ。事業ADR手続きでは、3年以内の「債務超過解消」と「経常黒字化」が要件となる。セージェントへの対応が今後の大きな焦点かもしれない。
(2022年11月25日掲載)