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>>>働き方改革<<<
 2020年度診療報酬改定の大枠が決定し、中身に関する議論が進んでいる。DPCマネジメント研究会学術大会で、今回の診療報酬改定の中身の方向性について、東邦大学医学部教授の小山信彌氏およびASK梓診療報酬研究所所長の中林梓氏の解説を聞いた。今回の診療報酬改定では「働き方改革」が重点課題となっており、医師等の働き方改革への対応分として0・08%を充てる特例的な措置がとられている。中林氏は「厚労省の覚悟がわかる」と評価している。
 さて、働き方改革で評価されるであろう項目を見てみると、やはり目に付くのがICTである。カンファレンスや医療連携、診療などにインターネットの活用を推進していくようである。Skypeといったコミュニケーションシステムを使うことで、参加する人が現地にそろわなくても、カンファレンスができる。いかにも仕事は進みそうだ。だが、かえって時間に縛られたり、仕事量が増えたりして、むしろ忙しくなるのではと思うのは筆者だけであろうか。
 「働き方改革」は、労働力の減少に対応するため「労働生産性を上げる」のが一つの目的だ。労働時間を短縮したうえで労働生産性を上げるには、ICTの活用は不可欠だろう。だが、満足度の向上については果たしてどうだろうか。半強制的に有給休暇を取らせたり、ICTを使ってカンファレンスに参加させたりすることが満足度の向上、しいては労働生産性向上につながるのか、少し疑問に感じている。
(2020年1月31日掲載)