薬事ニュース社
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>>>「1箱1千円」時代の足音<<<
 厚生労働省の来年度税制改正に向けた要望項目に、またかと言うかやはりと言うか、たばこ税の引き上げが盛り込まれた。さらに今回は文部科学省も厚労省と共同という形で要望している。文科省の資料を読むと「20年東京オリンピック・パラリンピックに向けてスポーツによる健康増進を図るにあたり、たばこの消費抑制がその基盤となること等を踏まえ、国民の健康の観点からたばこの消費を抑制する」とか何とか。世界的なスポーツイベントを持ち出されては喫煙者の肩身も狭くなるというものだ。自由民主党の議員連盟でも議論されているようで、「1箱1千円」時代が遠からずやってくるのかもしれない。
 その一方で、選挙権が18歳から与えられることに合わせ「たばこの18歳解禁」が議論されたというから面白い。結局は反対派の声に押し切られたようだが、健康増進に向けて禁煙を推し進めているのに、喫煙できる対象者を拡げようというのはさすがに矛盾があるのではないか。「選挙権があるなら18歳は成人であり、それならば酒もたばこも」という理屈もあるのだろうが、やはり身体への影響は別問題として考えなければならない。
 個人的な話になるが2年以上前にこのコーナーで禁煙していると書いたことがある。ただそれも今は昔で、結局は喫煙者に逆戻りして「5mgを2本と1mgを10本吸うのは同じ」などの謎理論まで提唱する始末。やはりたばこの影響は計り知れない。
(2015年10月16日掲載)