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>>>暑すぎる夏とパラダイムシフト<<<
 2023年の夏は歴史的な酷暑となっている。世界気象機関によると7月の世界の平均気温は、記録が残る1940年以降で最も高いという。国連は現状について「地球温暖化は過ぎ去り、地球沸騰化に入っている」とコメントするなど、これまでとは違う状況下に対する警鐘を鳴らす。Twitter(X)のトレンドワードでも「地球沸騰」はランクインし、多くは賛同する内容だった。日本国内においても、各地で記録的な暑さが観測されており、コロナ禍とは違う「外出制限」を呼びかける事態に陥っている。夏の風物詩と言える高校野球も酷暑の影響を大きく受けており、試合中における水分補給時間を始めて導入。またJリーグの試合でも前後半にそれぞれ給水タイムを設けるなど、プレーヤーの安全確保に乗り出している。高校野球は夏の風物詩のひとつであり、またプロスポーツにとっては夏休み期間のかき入れ時だ。ただ、現在の酷暑を俯瞰すると、これまでの対策では無理ではないかという考えにたどり着くのではないか。高校野球では大会初日から熱中症の症状を訴える選手が相次いだ。予選からの連戦や夢の舞台である緊張感を考えると、どれだけ水分補給をしても限界があることは明らかだ。Jリーグは夏の開催を避け、秋に開幕して春に終盤を迎える「秋春制導入」に向け、本格的な議論に着手している。これまで寒冷地への対策や夏休み期間の収入減などを理由に、事態は進んでこなかったが、酷暑がひとつのきっかけになる可能性がある。さらに福島県の相馬野馬追では、行事に参加した馬が日射病で死亡するなど、歴史的酷暑はありとあらゆる生物に猛威をふるっている。昭和レトロや平成ポップなど、昔を懐かしむ言葉は様々と登場している。夏の風物詩や夏休みの思い出など、夏を巡る行事そのものが、ノスタルジーとなることは、そう遠い話ではないのかもしれない。
(2023年8月25日掲載)