薬事ニュース社
オピニオン

>>>気まずい15分間<<<
 「定刻となりました。本日、〇〇委員は15分ほど遅れてのご到着というご連絡をいただいています」まではよくある光景。続いて事務局が、「本日はご欠席の委員が多く、委員を含めて開催に必要な定足数に達するため、到着を待っての開催となります」と続けたことで、会議室に苦笑いのような空気が漏れる。じめじめとした梅雨が始まる頃の、審議会での一幕だ。
 シンと張り詰めた空気の中、皆タブレットの資料に目を通している。誰も口を開くことはない。ただ、明らかに居心地の悪い空気が充満している。10分以上経ったところで、口火を切ったのは日本医師会の中川委員だった。「最後に定足数が達してればいいんじゃないの?」その言葉に、医薬・生活衛生局の宮本局長がすかさず「ダメです!」と答える。姿勢を崩し、椅子に浅く腰掛けながら「何分まで待つの?」と続ける中川委員に、宮本局長は「15分までは」と凌いだ。続いて、磯部監麻課長が「まぁまぁまぁ」となだめるように声をかけると、中井医療機器審査課長が「中川さん、今日は公開ですから!」と傍聴席のマスコミに目を向ける。張り詰めていた空気が和み、一気に重苦しさが解けた。
 委員が到着したのはきっかり15分後。うつむき加減に会議室へ現れ、そそくさと席についた。それを見て中川委員が座り直し、姿勢を正す。速やかに鳥井総務課長が検討事項の説明を始めた。気まずい15分間は、まるで何もなかったかのように、会議がスタートした。
(2019年8月2日掲載)