薬事ニュース社
オピニオン

>>>ジャックとトーマスかく語りき<<<
 「内部の変化が外部の変化についていけなくなれば、終わりは近い」。GE(ジェネラル・エレクトリック)社のジャック・ウェルチ元CEO(最高経営責任者、1935~)の言葉だが、20世紀最高の経営者といわれる人物の金言だけに重い。
 企業のことは措くとして、昨今、合併や分裂等の種々選択肢を含んで、団体組織の再編の動きが活発化している。薬系ボランタリーチェーン、薬剤師団体、薬局経営者団体。これら組織の動きは、外部環境の変化に耐えかねて動く受動的再編か、変化を見据えての能動的行動か。ウェルチ理論によると、前者であれば旗色は極めて悪い。では、ただ能動的であればよいかというと、そうでもなさそう。
 ウェルチ元CEOからさかのぼること約1世紀。GE創設者の1人にあの発明王トーマス・エジソン(1847~1931)がいる。彼は少年期、「1+1=2」という数式が理解できなかった、といわれる。曰く「コップ1杯の水とコップ1杯の水を足したって、結局コップ1杯の水でしょ? だったら『1+1=1』じゃないですか」と。これ自体は数理と論理の混同なわけだが、あえて、“単なる足し算では所詮シナジー効果もない「1杯の水」にしかなりませんよ”という警句として受け取ってみるのも一興。
 超優良企業を接点とした2人の偉人の発言を意訳すれば、理想は、能動的で戦略ある再編ということになる。いま盛りなる組織再編劇。その示唆としては、当然といえば当然か。

(2004年11月12日掲載)