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>>>釈明の不思議<<<
 桜の語源は多々あるが、その一つに日本神話に登場する木の花が咲き栄えるように美しい「木花開耶姫(このはなさくやひめ)」のさくやからとったとされる説がある。アマテラス大神の命を受け、葦原中国を統治するために高天原から高千穂峰に天降ったホノニニギの妻である彼女は、一夜の契りで身ごもったことに疑いをもたれ、釈明のために出入口を塞いだ産家に火を放ち、そこで出産したという。釈明の方法および、なぜ釈明の必要があったのか不思議に思った。
 釈明ではないが気象庁はこのほど、計算ミスで桜の開花宣言に誤りがあったと謝罪会見を行った。コンピューターに取り込んだ気温データに誤りがあったという。そもそも桜は、夏に芽をつくり、秋から冬にかけて休眠し、低い気温に一定の期間さらされることで、眠りから覚め、気温の上昇に伴い開花する。秋から冬にかけ、気温が十分に下がらないと休眠から覚めにくく開花が遅れがちになり、逆に気温が十分に下がると開花は早くなる。これらを考慮して開花の時期を計算するというのだが、計算の必要性および開花宣言を間違えたことによる謝罪会見の意味がさっぱりわからない。
 ともあれ、謝罪会見が功を奏したのかは不明だが、大した騒ぎにはならなかった様子。セルフメディケーションの重要性が叫ばれている昨今、気象庁に習って早めの謝罪ならぬ早めの予防で大事に至らないよう心がける所存だ。
(2007年4月13日掲載)