薬事ニュース社
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>>>インバウンド効果と冗談<<<
 2016年の旧正月である春節に伴う連休は2月8日からの1週間、前後の土日を含め、まさに今この期間だ。もちろん、春節を祝うのは中国だけではなく、台湾、香港、韓国、シンガポール、ベトナムなど中華圏の国々では最も大切な行事の1つとして、期間に多少の差はあるものの連休となり、祝賀ムードとなる。
 日本においては、これまでも横浜や神戸、長崎にある中華街などを中心に様々なイベントが催されてきた。ただ、近年では春節に伴うインバウンド効果、いわゆる“爆買い”にまつわる小売店のお祭り騒ぎのほうがニュースとして報道され、注目されることもあってか、季節の行事としての意味合いがだいぶ薄れてきてしまっている印象だ。
 年初に行われた、OTCに関係する業界団体の賀詞交歓会では、昨年のトピックス並びに今年の話題として、このインバウンド効果について触れられる機会が非常に多かった。停滞していた日本のOTC市場において、セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設と並び、明るい話題の1つとして紹介されていた。
 気がかりなのは、爆買いの牽引役である中国の経済事情の雲行きが怪しくなってきたこと。日本と中国との間に漫然と漂う政治的なリスクと併せて考えると、事業として過度な期待を寄せるのは危ないと考えるのが筋だろう。中国が莫大な爆買いマネーに目をつけ、内需拡大の切り札として国民の渡航制限令を発動する、などという冗談が頭の片隅から中々離れない。
(2016年2月12日掲載)