薬事ニュース社
オピニオン

>>>製品価値の最大化<<<
 新薬がなかなか出にくいとも言われる現在。既存品の効能追加など、企業はライフサイクルマネジメントの強化に乗り出している。企業の人に話を聞くと、大手製薬会社の開発品目中、剤型追加などのライフサイクルマネジメント関連の品目は全体の30~50%にも及ぶということ。中には、発売当初10億円程度の売上げであった製品が、剤型を変更したことで200億円以上もの製品に成長したという実績もあり、企業にとっては、製品価値をいかに高め、寿命を延ばすかということは、経営戦略の中で大きな位置づけとなっている。
 ただその一方で、製品価値の最大化に向けて軌道が乗ってきた矢先に、副作用問題でこけてしまうケースも最近特に目立つ。04年の米メルクのCOX2阻害薬「ロフェコキシブ」、さらに今年に入っては、グラクソ・スミスクラインの糖尿病治療薬「ロシグリタゾン」も副作用問題で揺れている。こうした薬剤に共通して言えるのは、発売後数年たって、問題となる副作用が明らかになる点。大型製品だけに、企業にとっては寝耳に水とも言える。
 市販後の安全対策の重要性が叫ばれる中、総合機構では今年度から始まった体制強化の一環として、安全対策にも力を入れていく方針。現在の治験相談などの事前評価において、市販後の安全対策を見据えた助言・指導を行っていくとしており、09年度から実施していく考えを示している。
 製品価値をいかに高めるか――。欧米と比べ、概念自体があまり浸透していない“ライフサイクルマネジメント”だが、ここにきてその重要性が認識され始めている。
(2007年12月7日掲載)