薬事ニュース社
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>>>コロナとヘルスリテラシー<<<
 8月19日から21日までにわたり東京ビッグサイトで開催された第22回「JAPANドラッグストアショー」は、3年振りのリアル開催となり、合計で約4万6000人が来場した。新型コロナのいわゆる第7波の最中で開催も危ぶまれる中、対面方式での実施にこぎ着けた関係者へ敬意を表したい。会期中もコロナが話題の中心となり、薬局やドラッグストアの役割を拡大させるべきとの主張が数多く示された。中でも総合診療医・感染症医である岸田直樹医師の講演では、札幌市危機管理局参与でもある立場で、コロナ対策については「かぜ症状であればドラッグストア等の方がうまく対処できる」と、具体的な提案を行ったことが印象的だった。同氏によると、「そもそも論として、病院・診療所においてかぜ症候群に対してできることが少ない」とし、医薬品のみならず、例えばスポーツ飲料や栄養剤、食事等まで幅広くラインアップするドラッグストア等の方が、患者にとっても有益であるとの認識を示す。またコロナに罹患し、発熱外来や保健所から自宅等で療養するセルフケアが指示されると「見捨てられたと勘違いする人が余りにも多い」と述べ、生活者のヘルスリテラシーが不十分な現状を嘆いた。同氏は、先ほど日本チェーンドラッグストア協会が策定した「受診勧奨ガイドライン」の監修も務め、合格者数が30万人を超える登録販売者による相談応需機能の拡充にも協力している。コロナ軽症者への対応は、リスクに応じたメリハリのついた対応を提言するなど、薬局・ドラッグストアの店舗の多さなどを社会的に活用することの重要性などを訴えていた。
(2022年9月9日掲載)