薬事ニュース社
オピニオン

>>>さらば愛煙の日々<<<
 「自民党、たばこ増税を見送り――」、この報道がどれだけ世間の注目を集めたかはさて置き、本来の私なら記事を隅から隅まで確認するところだが、今回は何となく流し読みをするだけに留めておいた。なぜなら私は現在禁煙中。愛煙家が聞いて喜びそうなこの報道をきっかけに、「それなら禁煙も見送り――」なんてことになりかねないからだ。
 とは言いながら、実際のところ禁煙を始めたのには大した理由があるわけではない。年末年始の帰省中にたばこを切らしたことをきっかけに、「そのまま吸わずに過ごしてしまおう」という軽い気持ちからだった。そして何となく始まったこの禁煙生活も、あっという間に1ヵ月以上が経過。途中何度か喫煙への誘惑があったものの、のらりくらりとかわしながら吸わずに過ごすことが出来た。禁煙にチャレンジするのは初めてなのだが、いわゆる"禁断症状"なるものにもっと苦しめられるものと覚悟していたので、ちょっと拍子抜けな気分もしている。「禁煙外来やら禁煙補助薬なんかにお世話になったりするのかなぁ」とか「そこまで頑張るくらいなら吸ってしまおうぜ」など色々思い巡らせていたが、案ずるより産むが易しとはよく言ったものである。
 しかし世の中には止めようとして何度も挫折してしまう方が大勢いる。確たる意志を持って始めた訳ではない私の禁煙生活も、何をきっかけに終わりを迎えるか分からない。何にせよどうにか吸わずにここまで来ることができたのだから、このまま非喫煙者になってやろうではないか。とりあえず最大の関門となりそうなのは、私が知る中で随一の愛煙家である友人と久々に会うことだ。たばこを吸おうとしない私をからかいながら、美味そうにプカプカさせることだろう。いっそのこと、たばこによる身体への影響を予習して、講義でもしてやろうかなんて思ってもみるが、きっと適当な言葉で煙に巻かれるに違いない。
(2013年2月8日掲載)