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>>>ツインデミック<<<
 新型コロナウイルス(COVID-19)とインフルエンザが同時流行する「ツインデミック」の懸念が高まっている。国立がん研究センター中央病院感染症部長の岩田敏氏はプレスセミナーで「同時流行は注意しないといけない」と述べ、「インフルエンザワクチンの接種を確実に行い、少しでもインフルエンザの流行を抑えることが重要」と強調した。
 一方で、夏にもインフルエンザが流行する沖縄では、今夏にインフルエンザの流行は見られていない。また、日本と季節が反対の南半球においても、インフルエンザの発生は少なく、今のところ同時流行が発生したとの情報はない。昨シーズンもインフルエンザの流行は小規模だった。こうした状況を見ると、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスは、混合感染しにくい組み合わせなのかもしれず、同時流行は起こらないのではとも思える。
 もちろん楽観視はできない。インフルエンザは毎年流行する型が違うし、抗原性も変異している。今までは大丈夫だったとしても、これからも大丈夫とは言えない。COVID-19も流行1年目でわからないことが多い。そういう面もあり、国も専門家もインフルエンザの予防接種を強く勧めている。KMバイオロジクスの永里敏秋社長も「過去最高の本数を製造している」と述べる。ちなみにWHOは、南半球でのインフルエンザの流行が少なかったことについて「世界の国々がCOVID-19伝播を減らすための対策を取ったことがインフルエンザの減少に影響した可能性がある」としている。
(2020年11月6日掲載)