薬事ニュース社
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>>>ポスト80%の道程<<<
 「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針2021)の原案が示され、社会保障改革のテーマでは、後発医薬品のさらなる使用促進に向けた新たな政府目標として「23年度末までに数量シェアを全ての都道府県で80%以上」が示された。少し物足りなさを感じるものの、今のジェネリック医薬品業界の状態を見れば、妥当なところという気もしている。とても数量シェア90%を目指すなどという目標は掲げられない。
 いや、80%を維持していくことも困難かもしれない。やはり小林化工に端を発した品質問題は大きい。日医工も自主回収が続いているし、他の企業においても自主回収が散見される。この品質問題をクリアすることが、業界としては喫緊の課題なのだが、自主点検と内部告発に頼るところが大きく、どれくらいの効果が認められるかは不明である。やはり、当局による抜き打ち検査を増やしていくことが重要となってくるだろう。
 それともう一つ、薬価制度の問題がある。ジェネリック医薬品は、最終的には長期収載品と同じ薬価になる。長期収載品を主に取り扱う企業のなかには、この薬価制度をビジネスチャンスと捉えるところもあるのだ。同じ薬価なら、長期収載品のほうが選ばれるはずだというわけだ。今の状況が長引けば、長期収載品を選ぶ医療機関や患者が増えることは容易に想像できる。そうなれば80%の維持は難しいだろう。右肩上がりで成長してきたジェネリックだが、これからはいばらの道が待っているのかもしれない。
(2021年6月18日掲載)