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>>>SF小説みたいな実証事業<<<
 まるでSF小説を思わせる実証事業が行われる。
 千葉県柏市と三井不動産、日本ヒューレット・パッカードなど民間企業4社は2月から、柏市の「柏の葉キャンパス駅」周辺の居住者を対象に、ICTを活用した健康データの「見える化」サービスを提供し、その効果を検証する「柏の葉スマートヘルス・プロジェクト」を開始すると発表した。
 24時間装着可能なリストバンド型ライフレコーダーを使用して参加者の健康データを蓄積、分析。「体脂肪率」や「消費カロリー」「BMI値(肥満度)」「基礎代謝量」などのほか、「睡眠状態」までグラフ化し、PCやスマートフォンで表示する。これによって自分の健康状態や体調変化を目で見て確認することが可能になる。累積消費カロリーをランキング表示するなどゲーム性を付加して達成感や継続意欲を醸成するほか、保健師や管理栄養士をはじめとする専門家の健康指導・アドバイスも提供し、あらゆる角度から参加者の健康をサポートする。「柏の葉スマートヘルス・プロジェクト」では、こうしたサービスの利用を通じた住民の健康増進効果を検証。将来的には、自発的な健康増進・疾病予防プログラムの促進による住民の健康レベル向上、さらには社会保障費の削減を実現する街づくりモデルを目指すという。
 冒頭、「SF小説を思わせる」と書いたが、24時間モニタリングによる住民の健康管理という発想は、自己管理か第三者管理かという違いを除けばほとんど伊藤計劃著「ハーモニー」そのもので(興味のある方はどうぞ)、小説が現実化したような錯覚を覚えたりもする。それはともかくこの事業、総務省の「12年度ICT街づくり推進事業」の一環として実施されるそうである。個人的には自分の体調まで24時間、機械に監視されるのは御免蒙りたいが、まあ、公共事業に予算をばら撒くよりは有意義か。
(2013年2月15日掲載)