薬事ニュース社
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>>>新型コロナと市販後安全対策<<<
 新型コロナウイルス感染症に対するmRNAワクチン「コミナティ筋注」が2月14日に承認され、医療従事者を対象にした先行接種が現在進んでいる。政府は高齢者への接種を4月12日からスタートさせたい方針を示しており、供給面などでまだ課題を残しているものの、コロナ収束のカギを握るワクチンの接種開始に国民の期待も大きい。
 ワクチンの接種開始に合わせて厚生労働省は、副反応に対する収集・評価体制を強化するため、通常の定期接種と同様の副反応疑い報告を求めるだけでなく、接種後の健康状況の把握を目的に、症状が生じなかったケースも含めて調査対象の全員から報告を求める調査を実施。重篤な副反応だけでなく、頻度の高い一般的な副反応の発生状況も早期に集約していく。副反応に対する正確な情報収集と情報発信を行い、国民の懸念を払拭してスムーズな接種に繋げたい考えだ。
 こうした市販後安全対策はコロナワクチンに限らず、今まで以上に重要性を増してくる。「先駆け審査指定制度」「条件付き早期承認制度」の法制化など、患者の新薬への早期アクセスを図る要素は充実してきている。一方で、世界初の革新的新薬が国内で登場するようになれば、同時に未知の副作用と向き合うリスクも出てくるため、より高度な市販後安全対策が求められる。「育薬」の概念が改めてクローズアップされるなか、副作用報告と安全性情報の提供の担い手である薬剤師の役割に注目が集まりつつある。
(2021年3月5日掲載)