薬事ニュース社
オピニオン

>>>赤ちゃんとSIDS<<<
 つい先日、“赤ちゃん”と接する機会を得た。生まれてから1ヵ月も経っておらず、布団の上にただ寝かされている本当に小さい赤ちゃんではあったが、その動きや表情の変化に、時間も忘れて見入ってしまった。人生の中でほとんど接する機会がなかったが、我が子ではなくてもこんなに愛おしい感情が沸いてくるものなのだな、とつい可笑しく思ってしまった。この日は、病院の新生児室も見ることができたのだが、そこには多くの赤ちゃんがいた。子は国の宝などと大げさな話ではなく、単純にこの子らが健康で元気に育って欲しいと祈るような気持ちになった。
 様々な理由から、残念にして亡くなってしまう赤ちゃんがいることも現実としてある。その理由として乳幼児突然死症候群(SIDS)のことを耳にされたことがある方も少なくないだろう。このSIDSは、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る症候群で、その発生原因はまだ明らかになっていない。日本においては、2015年度にSIDSで亡くなった赤ちゃんは96人で、この人数は乳児期の死亡原因の第3位となる。調査の結果から分かっていることといえば、可能な限り仰向けで寝かせることや母乳で育てること、そして周囲が喫煙を止めることで、SIDSの発生率を下げることができるという。毎年11月実施のSIDS対策強化月間に限らず、これら対策の知識を普及させることが重要だと感じた。
(2016年11月25日掲載)