薬事ニュース社
オピニオン

>>>進化する医療技術に人間はついていけるか<<<
 最近承認される先進医療技術は、手術個所に小さい操作孔をあけ、内視鏡下で措置を施す内視鏡手術が多い傾向にある。内視鏡手術時に術者は体内のカメラが写した臓器等を画面でモニタリングしながら機器を操作して手術を行うが、近年では術部を3次元(3D)的な立体映像で映し出す技術「裸眼立体視システム」というものがあるらしい。
 同技術は、格子状に並べた凸レンズの直下に約100個の液晶画素が配されるような仕組みになっており、凸レンズにより各液晶画素からの光を様々な方向に投影。表現したい物体に対して複数の方向から光線を与え、結像させることにより立体像が空中に物体が置いてあるように見える。空間に3D像を投影するため、特殊な眼鏡等の必要がないことに加え、同時に複数の観察者が3D像を観察することができる。(NVIDIA社HP参照)
 裸眼立体視ではないが、3D技術を活用したSF映画「アバター」を鑑賞した人も多いだろう。こちらは、左右の目に視点の異なる映像を意図的に見せることで奥行きを感じさせる3D技術で、特殊なメガネを装着して3D映像を楽しむ。もし同作品のように手術中の臓器等が立体的に見えるとしたら、医師は施術をしやすくなるのだろうか。人間の目は、左右それぞれの目に入った異なる映像(情報)を脳が1つに処理することで目に見えるものを立体として知覚するが、3D映像を見るピントは固定されるため、矛盾が生じて3D酔いをする人もいる。
 近年、SF映画のような技術が現実のものにありつつあるが、医療の進歩は医薬品や医療機器だけでなく、それらを扱う人間にも必要だろう。
(2010年2月12日掲載)