薬事ニュース社
オピニオン

>>>ペットにも人にも優しくできるか<<<
 去る8月末、ニューヨークなど米国東部は大きなハリケーン被害を受けたのだが、それに先立つ8月26日、米国食品医薬品局(FDA)はハリケーンに備えてのチェックリストを発出していた。FDAでは一般生活者に対し浸水被害を受けた食糧を摂取しない――など食糧・飲料水に関して注意項目を7つ記述した後、ペットの項目を設定、家を出なければならない場合はキャリアーに入れて連れて行け。ペットにとって貴方と一緒が一番なのだ。ペット用おもちゃも忘れるな――とペットの精神面ケアに及ぶまで4項目に渡る動物愛護精神に溢れた通達を出した(ちなみに薬剤に関しては、たった2項目を表記)。
 いかにも欧米らしい対応だと感心しつつ、西アフリカのマリ共和国での動物への振る舞いを思い起こした。カオスの様相を呈したバマコの街中では牛・ロバ・ヤギ等出没するのだが、現地で雇ったドライバー氏は「どかぬなら轢いてしまえ」という勢い。またガイド氏の自宅に招かれ、庭先を歩く犬の名前を聞いてみると「犬に名前なんかないよ。日本では犬に名前を付けるのか?」と驚かれた上に、犬は叩かれて追い出された。そんなガイド氏も大震災に際して安否を気遣うメールをくれた。その一方、地下鉄券売機に「犬用チケット」まである音楽の都・ウィーンでは、犬が電車のみならず店舗、レストランへの出入りも自由。旅人にもペットにも優しいウィーンっ子ではあるが、つい先日オーストリアで人権侵害も甚だしい事件が発覚(詳細は記さず)、人間は「いろいろ」だな、と実感。同時に原発被災地で行くあてを失った犬や猫、そして被災者に寄り添い心の支えになっているペット達にも思いを馳せた。人間にもペットにも愛情を注げるのが一番だ。
(2011年9月9日掲載)