薬事ニュース社
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>>>コロナ禍で浮き彫りになった「施設力」<<<
 新型コロナの影響で医療機関・薬局の収入減少が著しい。日本医師会、日本薬剤師会などの関係団体は2次補正予算における支援獲得に向けて厚労大臣に直訴するなど、本紙8面資料に示される通り、厳しい経営状態が数字の上からも示されている。そんなコロナ禍においても、地域のフラッグシップ的存在の薬局では、一般用医薬品の売り上げが前年比で伸長し、患者減少の痛手をある程度軽減できているという。こうした状況はリサーチ会社「インテージヘルスケア」が実施した本年4月の一般用医薬品に関する販売トレンドにも現れている。前年比112%となった漢方薬は、肥満関連製品は苦戦したものの、葛根湯や麻黄湯など風邪症状に効能効果を有する製品が好調だ。また解熱鎮痛剤も101%で微増した。門前薬局などは予てから「売れない」「コストの無駄」といった経営判断から、一般用医薬品から距離を置き、処方箋応需に依存する「一本足打法」を選択してきた。そんな中、薬機法改正で地域連携薬局などが設定され、これまでのような「待ちの姿勢」では経営的に行き詰ることが示唆されていた。未曾有のコロナ禍は、薬局という施設としての本質が試される奇妙な現実を突き付けている。
(2020年6月12日掲載)