薬事ニュース社
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>>>福利厚生の費用対効果<<<
 08年度予算編成における社会保障関係費2200億円削減の財源確保の1つとして、政管健保の国庫負担を削減し、その不足する財源を組合健保等に肩代わりさせる厚労省案が浮上している。これに健保連、日本経団連、連合らの保険者団体は、保険料の引き上げにつながるとして、強く反発している。
 同案が浮上してきた背景には、被用者保険間において存在している報酬水準、保険料率の格差がある。主に中小企業の会社員が加入する政管健保の被保険者の報酬は平均385万円。これに対し、主に大企業の会社員が加入する健保組合は平均555万円。健保組合の方が断然報酬が高い。しかし保険料率は政管健保の82‰に対して健保組合は平均74‰と低い。
 こうした背景を聞くと、報酬が高いのに保険料率が低い健保組合等に肩代わりしてもらうのは正論との認識を持つ。が、そう思うのは早計との意見もある。曰く「政管健保の被保険者に対して法律で義務づけられている社会保険以外何も用意していない中小企業が少なくない中で、被保険者に対して充実した健診やメンタルヘルスの福利厚生を用意している大企業は多い」と。例えば、健診はもちろん、人間ドックや歯科検診の無料、フィットネスクラブの割引、健康相談やカウンセリングの完備など、大企業が運営する健保組合の方が被保険者の健康管理に気を配り、その分の費用も負担しているという側面があるからだ。
 そうした面で、大企業は予防的側面で費用対効果はいいのではないかということが言えそうだが、単なる過剰な福利厚生ではないか、といった反論も聞こえそう。で、結局、エビデンスがないとどちらが良いかは判断が尽きかねるということだ。
(2007年11月16日掲載)