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>>>新医薬品産業ビジョンて・・・?<<<
 今年8月。約5年ぶりの改訂となる「新医薬品産業ビジョン」がまとまった。前回の医薬品産業ビジョンでは、①メガファーマ②スペシャリティファーマ③ジェネリックファーマ④OTCファーマ――と位置付けられた製薬企業の分類。新産業ビジョンでは、前回の分類に加えて、局方品など医療を支える基礎的な医薬品を提供できる“ベーシックドラッグファーマ”が加わった。つまりは、“革新的な新薬は出せないが、局方品なら供給できる企業”が、新たにカテゴライズされたことになる。
 一方、肝心の薬価制度に関する記述。新ビジョンでは、「特許期間中にリスクとイノベーションに見合うリターンが得られ、かつ特許期間満了後は再審査期間を経た上で、後発医薬品に着実に置き換わる仕組みに向けた検討が必要である」との記載内容にとどめたのみ。踏み込んだ記述はなかった。
 「医薬品に関する問題の半分は薬価。後の半分は承認審査のこと。その半分が抜け落ちていたのでは、はっきり言って意味がない。そもそも厚労省が製薬企業の分類をするなんて、企業にとって見れば大きなお世話でしょ。」――。ある関係者は、ビジョンの存在自体首をかしげる。確かに、医薬品産業の根幹となる薬価制度が抜け落ちていては、今後10年間を見据えた産業の将来像を描いているとは言い難い。「産業ビジョン、産業ビジョン」と厚労省は息巻くが、ふたを開けてみればさほど目新しさがない新ビジョン。これまでの施策の寄せ集めと思ってしまうのは、私だけだろうか。
(2007年9月7日掲載)