薬事ニュース社
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>>>ネット販売法案の審議がスタート<<<
 最高裁判所が今年1月、OTC薬の通信販売を規制する厚生労働省の省令を違法とする判決を下して以来、インターネット販売を含むOTC薬の新たな販売制度などを規定する「薬事法及び薬剤師法の一部改正法案」がようやく今臨時国会で審議入りとなった。会期中の成立を目指すのであれば、本稿が掲載される頃には衆議院で可決され、参議院で審議しているかもしれない。とにかく最高裁判決から約1年、政府が改正法案を閣議決定した後もなかなか国会に提出しないため「議員立法」の動きもあったようだが、とりあえずひと段落という感じだろうか。
 ところがこの改正法案に処方せん薬のネット販売禁止も盛り込んだために、新たな議論を生むことになった。厚生労働省の担当者は「処方せん薬も省令で対面販売を義務付けていたので、法改正に合わせて法律で明確化する」と説明するが、ケンコーコムが「議論が十分でない」として処方せん薬をネット販売する権利を求め、国を相手に提訴。驚いたことに与党内から、しかも元厚労副大臣までもが「医師と患者が決める処方に薬剤師が間に入って口を挟むのはおかしい」と、処方せん薬の対面販売の法定化に反対した。ネットも対面も安全性は変わらないと主張するならともかく、これでは医薬分業の意義をすっ飛ばして「薬剤師は不要だ」と発言しているようなものだ。冒頭に参議院で審議しているかもなどと書いたが、国会の場では一体どのような議論が交わされるのだろう。
(2013年11月29日掲載)